今回は空き家を活用した不動産投資について紹介します。当社は不動産会社で、基本的に売買仲介をメインとしていますが、古くなった空き家や分譲マンションを購入し、室内をリフォームし、収益物件として運用しています。
そんな空き家物件の投資は、「素人は出を出さないほうがいい」「プロだからできるんでしょ」とお客様によっては否定的な考えを持つ方もいます。事実、場所や購入価格を間違えると、せっかくお金をかけてリフォームしても、賃貸につかないといった悲惨なケースもあります。
一方、空き家物件はそれほど投資金額がかからず、かつ賃貸に貸し出すことができれば、利回りが高く、短期間で投資額を回収できるといったメリットがあります。
時間と経験が必要ですが、コツコツ投資を積み重ねていけば、空き家投資は雪だるま形式で拡大し、気が付けば大きなリターンを得られるようになります。
今回はそんな魅力的な空き家投資について、これから始める方向けに、空き家投資のイロハを学べるツールや投資の進め方についてご紹介できればと思います。
1、空き家数と空き家率の推移
①空き家数は一貫して増加傾向
総務省統計局によると、平成30年の空き家は平成25年に比べ、26万戸増加し846万戸となりました。空家数の推移を見てみると、昭和38年から一貫して増加傾向にあります。
目下、人口減少が顕著となっていることと、新築物件が引き続き増加していることを鑑みても、今後も空き家はさらに増える見込みです。
特に、地方においては人口減少が顕著となっているため、空きや数の増加と空き家率の上昇は間違いないでしょう。
②空き家率は2033年には30.2%
野村総合研究所によると、2033年の空き家率は30.2%に達し、総住宅数7,106万戸のうち、2,146万戸が空き家になるとの見通しです。つまり、今後も一貫して空き家は増加していくということです。
あわせて空き家不動産投資の箱となる「お宝物件」も多くなるということです。都市部で駅からある程度近い場所であれば、投資家の間で取り合いになることは間違いないでしょう。
2、空き家不動産の現状について
現状空き家が増えていることはわかりましたが、次に空き家への投資の現状についてお伝えします。
①空き家のリフォーム市場は拡大
先ほど、空き家数はH30年時点では846戸とお伝えしましたが、国土交通省の調査によると、そのうち簡易な手入れで、かつ駅から10分程度の物件は約40万戸だそうです。(https://www.mlit.go.jp/common/001172930.pdf)
つまり、潜在的なリフォーム市場は、40万戸×1戸当たり500万円=2兆円に上る計算です。しかも、空き家は今なお増加中ですので、規模はさらに拡大している見通しです。
②空き家不動産の新規参入について
次に空き家不動産への投資状況ですが、近年ますます活発化しています。これまでは、空き家に投資するのは、空き家再生をメインとする買取業者と、一部の個人投資家(しかもセミプロ)でした。
しかし、近年は不動産価格の高止まりにより、なかなか新規の収益物件や土地を取得できない中小の不動産会社も買取を積極化しています。さらには、リフォーム会社も、自社でリフォームを手掛けることができるという「強み」を生かして参入している状況です。
③個人投資家の可能性について
空き家不動産の個人投資家についても引き続き買取を積極的に行っています。これだけ参入者が多ければ、情報が限られる個人投資家に勝ち目はないという意見が出てきますが、確かに不動産会社に比べると情報力では負けてしまいます。
ただ、それでも空き家不動産投資が活発なのは、それと並行して空き家の数も増えているからです。空き家となる母数が増え続けているので、個人でも十分に投資する価値のある空き家物件がどんどん出てきているのです。
空き家不動産投資のメリット
①個人でもお宝物件に出会える
空き家物件は総額が低く、また事前の調査にも時間がかかるため、不動産仲介者も積極的に商売として動く業者は限られます。
例えば、総額売却価格200万円の物件の仲介手数料は10万円ですが、2000万円の物件だと作業量も時間もほとんど変わらない(逆に少なくて済む場合が多い)のに66万円となります。
そのため、不動産会社が閲覧する不動産流通サイトのレインズにも情報を掲載しない場合が多いです。それよりは、空き家好きの不動産会社や投資家に直接買ってもらった方が効率がよいと考えているからです。
そのため、普段から好意に付き合っている不動産会社に、自身が空き家物件に興味があることを伝えておけば、競合も少なく優先的に紹介してもらえる可能性があります。実際、個人でも空き家物件に投資しているケースはたくさんあります。
②高利回りを期待できる
空き家物件の多くは、築古で築浅の物件に比べかなり低めの金額で入手することができます。リフォームして、上手く入居者をつけることができれば、高利回り物件として稼働させることができます。
物件によっては、実質利回りが15%を超える超優良物件があるので、数年で投資資金を回収することも可能です。
とはいっても、入居者がつくまでに数ヶ月から半年、中には1年近くかかってしまうことがあるので、アクや不動産投資はある程度気持ちにゆとりをもって投資するのがおすすめです。
空き家不動産投資のデメリット
①手間のかかる投資
空き家不動産は、購入時は内装や設備が古く、そのままでは賃貸に貸し出すことができない場合がほとんどです。
そのためデザインを含め、内装を大きくリフォームする必要があります。リフォーム会社に丸投げすることはできますが、その場合は他の物件と差別化が図れず、賃貸に貸し出すのが難しくなってしまいます。
リフォームは可能な限り自身の目で見て、どのようなデザインで何をどこに配置するのか?を自分で考える必要があります。そのため、新築物件やすでに入居している収益物件よりも手間のかかる投資です。
②融資は難しい
空き家不動産は基本的に、融資をつけるのが難しいです。理由としては2つ。
1つ目は空き家物件は金額が低いので、不動産会社も手っ取り早く売りたがっています。そのため、融資審査やましてや融資特約(融資が通らなければ契約解除となる)を利用するのはご法度です。融資をつけたいと不動産会社に伝えると、他の買主に紹介される可能性が高いでしょう。
そして2つ目は、融資は収入に加え、担保評価と収益性なども考慮され審査されます。収入を生まず、築年数も古い空き家は担保評価が低いので、融資審査に通りにくいというデメリットがあります。
3、空き家不動産投資をはじめるために無料できること
ここでは空き家不動産投資をはじめるために、まずは無料でできる情報収集や知識を深めるためのツールをお伝えします。
①ネットで空き家に関する情報を集める
空き家不動産投資を始めるためには、まずはネットで情報収集することが一番です。ネット上では無料で情報収集できるため、「空き家 不動産投資」「古家 投資」などと検索して、出てくる情報をチェックしましょう。
もっとも、すでにこの記事を読んでいるということは、ある程度情報収集はしていると思いますので、どんどん検索にヒットした記事をチェックしてみてください。
②スーモやアットホームなどのポータルサイトをチェックする
スーモやアットホームなどのポータルサイトは誰でも見ることができます。不動産投資をする際には必ずチェックすべき媒体です。
ただ、個人投資家の中には、スーモやアットホームの情報は誰でも見れる分、売れ残っていたり、あまりよくない物件が多いのではないか、という質問を受けることがありますが、全くそんなことはありません。
空き家不動産投資において最も重要なのは、人気の高い収益物件投資とは違い、だれも見向きもしていない空き家物件を発掘し、それをしっかりと磨くことで収益化し、物件の価値を高めるということです。
こうした宝の原石となるような物件は、意外にもスーモやアットホームのようないろいろな物件が載っているサイトに転がっているのです。
③無料動画を視聴する
空き家不動産投資を始める際にオススメしているのが、一般社団法人古家再生推進協議会がYouTubeに投稿している動画を見ることです。
一般社団法人古家再生推進協議会は、「老後の年金問題」と「空き家問題」の問題を解決すべく、社会問題解決コミュニティーとして発足した団体です。
全国で定期的に空き家・古家の不動産投資に関するセミナーを行っているほか、空き家不動産の投資家のバックアップなども行っており、まさに空き家不動産を手掛けるプロ集団の集まりです。
そんなプロ集団の一般社団法人古家再生推進協議会は、YouTube上に、空き家不動産の「調査」から「内覧」、「購入方法」に至るまでのノウハウを200本以上アップしています。
実際に見ていると、本当に「無料でいいの」と思いたくなるような情報が満載です。また、初心者だけでなく、プロにも役立つ情報が満載ですので、まだ見ていない方はぜひ確認してみてください。
④セミナーに参加する
空き家不動産に関するセミナーは一般社団法人古家再生推進協議会が主催するセミナーに参加するのがオススメです。全国でセミナーを行っているので、動画を視聴しつつ、実際セミナーに参加し、学ぶことも重要です。
また、最も重要なのはそこで講師の先生や、同じ投資家同士で情報交換できることです。ネットに書いていない情報や、生の情報なども聞けることもあるのでぜひ行動してみてください。
他にも分野は違いますが、マンション投資セミナーや収益不動産投資セミナーなどにも参加して、不動産に関する知見を深めておくことは重要です。もし、時間と興味があれば参加してみてくださいね。
⑤信頼のできる不動産営業マンを探す
不動産情報を入手するうえで、ネット情報とあわせて重要なのが不動産営業マンの存在です。信頼関係を構築し、また「お得意様」とみられるようになれば、入手したての情報やクローズド案件なども優先して紹介されるようになります。
ただ、不動産営業マンもいきなりホットな情報はくれません。はじめのうちは関係構築から始まりますので、「信頼」よりも頻繁に連絡を取り合うことが重要です。
⑥物件ツアーに参加する
先ほど一般社団法人古家再生推進協議会を紹介しましたが、同協議会は定期的に物件ツアーを開催しています。空き家物件や古家物件を対象としたツアーですので、こうしたツアーに参加することも物件情報を仕入れる貴重な情報源となります。
また、ツアーに参加する醍醐味としては、もちろん物件を見れることも大きいですが、あわせてツアー主催者や地元の不動産業者ともつながりができ、今後も空き家情報を希望すると伝えることで、空き家物件の情報が入りやすくなります。
空き家の不動産投資でオススメしない立地/場所
さて、情報収集ができたら、次は実際に購入する場所を検討していきます。検討する際、あまりオススメしない場所を紹介したいと思います。
目下空き家が増え続けていますが、空き家不動産投資に向いている立地と向いていない立地があります。以下その代表的なところです。
①人がほとんど住んでいないところ
空き家の不動産投資の醍醐味は、改修やリフォーム後にお客さんに入居してもらって収益物件化することです。
そのため、大前提として賃貸として貸し出すことのできる場所でなければなりません。ほとんど人の住んでいない場所であれば、賃貸需要もないため、空き家の不動産投資には向いていません。
②都心のど真ん中
一方、都心のど真ん中も一般的に難易度が高く、空き家不動産投資に向いていません。
理由としては、もうおわかりだと思いますが、都心のど真ん中は賃貸需要がある一方で、不動産価格が高いという特徴があります。
そのため、すぐにお客さんが見つけやすい一方で、利回りが悪く収益物件としてはうま味がありません。もちろん特殊な要因があって、都心のど真ん中の物件を安くで手に入れられる場合は別ですが、一般的には空き家投資には向いていません。
5、初心者には絶対おすすめしない物件
さて、ある程度場所が絞れたら、次は実際に物件の内覧を開始していきます。内覧の候補物件としては、物件同士の比較をしたり、冷静な判断を促すためにも、3物件~5物件はほしいところです。
そして、内覧した際には、以下のような物件は初心者にオススメしないので、参考にしてみてください。
①躯体が傷んでいる物件
空き家不動産投資では、築年数30年、40年の物件投資が一般的です。そんな物件の室内はボロボロで、クロスも畳も黄ばんだり、破れている物件がほとんどです。
ただし、室内はボロボロでも多少のお金をかければ修復することも可能です。一方で躯体はそうはいきません。
柱が傾いていたり、家そのものが傾ている物件などは、修復そのものが不可能だったり、場合によっては修復することも可能ですが、原状回復費用はとんどもなく高額となってしまいます。
②境界がはっきりしていない物件
不動産取引においては、けっこうな頻度で境界が確定していない物件というものがあります。一般的には売却前に境界確定をしてから売るのが通常の流れですが、たまに売主が不在で何もわからない後見人が売主だったり、測量図も境界標もない隣地との境界があやふやな物件があります。
そんな物件は、購入後に測量をし直した際に、実は思っていたよりも敷地はずっと手前だったなんてこともありえます。また、境界がはっきりしていない分、隣地とトラブルになりやすく、一般の投資家はあまり手を出さないほうがよいでしょう。
③心理的瑕疵のある物件
初心者は心理的瑕疵のある物件も手を出さないほうがいいでしょう。心理的瑕疵とは、買主や貸主に心理的な抵抗を感じさせることをいい、例えば以前に殺人事件や自殺などが合った物件をいいます。
こうした物件は賃貸に貸し出す際に、この物件は賃貸に貸し出す際に、借主に通達する義務があるので、賃料を大幅に下げるなど、入居者を探すのに非常に苦労します。また、臭い除去のような特殊清掃をする場合がほとんどですので、原状回復も多額のお金が必要になることが多いです。
もっとも、こうした事故物件は相場よりも安くで取得することが可能ですが、募集賃料の引き下げといったリスクを考慮すると、やはりプロ向けの物件といえるでしょう。
空き家の不動産投資に向いている場所
①近くに大学や専門学校などの大きな施設がある場所
人口が多く、周りにオフィスや工場などの働ける場所が多いことや、大学や専門学校があり学生の多い場所がオススメです。
②地方都市の賃貸需要の見込める場所
また、意外かもしれませんが、地方都市もオススメです。東京や大阪のような大都市は、近年不動産価格が高止まりしているので、よっぽど安くで購入できる場合でない限り、数字が合わずあまり魅力的ではありません。
それよりも、賃料こそ低いものの、不動産価格がそこまで高くない地方都市の方が、賃貸需要のある場所であれば、しっかりと利回りもキープできます。利回り20%以上も十分可能です。
まとめ
以上空き家不動産の概要や情報収集についてお伝えしました。
空き家不動産は、今後も長期的に増えていく予定で、立地と物件によっては魅力的な収益不動産へと変貌することが可能です。
そのためにも、日々情報収集と不動産会社の担当者と情報交換をすることが重要です。最初は小さい投資ですが、上手く収益化し、キャッシュフローが回ってくれば一気に雪だるま形式で投資額も大きくなってきます。
また、自身でリフォームやリノベーションする楽しみもあり、非常にやりがいのある投資ですので、ぜひチャレンジしてみてください。