賃貸仲介手数料の相場・上限は?0.55か月・1.1か月の仕組みと注意点
賃貸仲介手数料とは、賃貸借契約が成立した際に、不動産会社へ支払う媒介報酬です。金額は会社ごとに自由に設定できるわけではなく、宅地建物取引業法に基づく国土交通大臣告示で上限が定められています。
居住用建物の賃貸仲介では、貸主・借主から受ける報酬の合計上限は賃料1.1か月分(税込)です。借主または貸主の一方から受ける額は原則0.55か月分(税込)までで、0.55か月分を超えるには、媒介の依頼を受ける際にその依頼者の承諾が必要です。仲介手数料0円・定額の会社もありますが、礼金・保証料・保険料・鍵交換費など初期費用全体で比較しましょう。
【2026年10月更新】詳しい報酬上限は国土交通省の宅地建物取引業法関係資料で確認できます。
賃貸仲介手数料とは?相場・仕組みの基本
引っ越しや転勤の際、不動産会社(仲介会社)を通して、お部屋探しをすることが多いかと思います。
不動産会社は、依頼者(お客様)の希望に応じて、物件探しや内見案内、入居申込みの取次ぎ、重要事項説明、契約手続きの調整、鍵の引渡しなどを行います。
仲介手数料は、こうした媒介業務の対価として契約成立時に支払う報酬です。
賃貸仲介手数料の上限は?
賃貸仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法46条と国土交通大臣告示で定められています。居住用建物では、貸主・借主双方から受ける報酬の合計は賃料1.1か月分(税込)が上限です。
借主または貸主の一方から受け取れる額は、原則として賃料0.55か月分(税込)までです。これを超えて受け取るには、宅建業者が媒介の依頼を受ける段階で、その依頼者から承諾を得ている必要があります。国土交通省の解釈では、依頼後に承諾を得ても、この例外の承諾には当たりません。
なお、この0.55か月分の制限は「専ら居住の用に供する建物」の賃貸借に関するものです。店舗・事務所など居住用以外の賃貸借では扱いが異なります。
0.55か月と1.1か月、どう違う?家賃8万円の例
居住用の賃貸借では、仲介会社が貸主・借主の双方から受け取る報酬の合計は家賃1.1か月分(税込)が基本の上限です。借主からいくら受け取るかは別の論点で、原則は一方につき0.55か月分(税込)。媒介の依頼を受ける際に本人の承諾がある場合、借主側の負担が増えることがあります。
借主0.55か月の場合
80,000円 × 0.55 = 44,000円(税込)
居住用建物で借主が原則負担する上限の例です。
借主1.1か月の場合
80,000円 × 1.1 = 88,000円(税込)
媒介依頼時に例外的な負担について承諾がある場合などの上限例です。
ポイントは金額だけでなく、借主に超過負担を求めることについて媒介の依頼を受ける際に承諾を得たか、そして貸主・借主からの報酬合計が上限内かです。見積書や媒介依頼時の説明内容を確認してください。なお、店舗・事務所など専ら居住用ではない物件では一方から0.55か月という制限の扱いが異なります。
賃貸仲介手数料は交渉できる?
仲介手数料は法定上限の範囲内で各社が設定するため、0.55か月分(税込)、1.1か月分(税込)、定額、無料など料金体系は会社や物件によって異なります。
「交渉すれば必ず安くなる」わけではありませんが、申込み前に仲介手数料の金額と計算方法を確認し、複数の会社で同じ物件を取り扱える場合は条件を比較する方法があります。
仲介手数料を無料・低額にできる理由も会社ごとに異なります。貸主側からの報酬・広告料がある、利用者自身で物件を探すことで業務を絞っている、オンライン中心で運営しているなどのケースがあります。仲介手数料だけでなく、他の名目で不要な費用が追加されていないかも見積書で確認しましょう。
賃貸仲介手数料の相場・上限と家賃別の金額表
| 家賃 | 0.55か月相当(税込) | 1.1か月相当(税込) |
| 3万円 | 16,500円 | 33,000円 |
| 4万円 | 22,000円 | 44,000円 |
| 5万円 | 27,500円 | 55,000円 |
| 6万円 | 33,000円 | 66,000円 |
| 7万円 | 38,500円 | 77,000円 |
| 8万円 | 44,000円 | 88,000円 |
| 9万円 | 49,500円 | 99,000円 |
| 10万円 | 55,000円 | 110,000円 |
| 15万円 | 82,500円 | 165,000円 |
| 20万円 | 110,000円 | 220,000円 |
※上表は消費税率10%で計算した例です。実際の請求額は、媒介依頼時の合意内容と不動産会社の料金設定を確認してください。
賃貸仲介会社の仕事内容|仲介手数料に含まれる主な業務
金額表を見ると、仲介手数料が初期費用の中で大きな割合を占めることがあります。
一方、仲介会社は物件紹介から内見、審査・契約調整、重要事項説明などの業務を担っています。主な業務は次のとおりです。
| ①希望条件ヒアリング | お客様に応じて場所や予算をヒアリングします |
|---|---|
| ②物件検索 | 希望条件に合う物件を、物件情報サイトや取扱物件の情報から探します。 |
| ③案内 | 希望する物件を案内します |
| ④申込 | 希望する物件について、貸主または管理会社へ入居を申し込みます。 |
| ⑤契約書類の準備 | 申込審査後、貸主・管理会社と連携して賃貸借契約書や必要書類を準備します。書類作成の担当は取引形態によって異なります。 |
| ⑥各種手続き | 火災保険や保証会社への申込み・契約手続きを進めます |
| ⑦重要事項説明 | 宅地建物取引士が、契約成立までの間に借主へ重要事項を説明します。 |
| ⑧決済金の受領及び送金 | 契約時の費用を受領し、貸主・管理会社などへ必要な精算・送金を行います。 |
| ⑨鍵渡し | 物件の鍵をお客様に渡します |
以上が主な業務ですが、このほか、オーナーや管理会社との調整、金銭の精算など、契約成立までには細かな業務があります。
仲介手数料0円・定額サービスを選ぶときの注意点
借主側の仲介手数料を無料または定額にしているサービスもあります。料金だけでなく、対応エリア、内見方法、取扱可能物件、オンライン契約の可否なども確認して比較しましょう。以下は2026年10月時点で公開情報を確認できた例です。
さがしてモチコム
東京都内を中心に利用できる「さがしてモチコム」では、2026年10月時点のLINE公式アカウントで、取扱可能な物件について仲介手数料0円または2万円と案内しています。条件は物件によって異なるため、申込み前に最新内容をご確認ください。
なぜこんなにも安いのか?
利用者自身がポータルサイトなどで見つけた物件URLを送り、取扱可能か確認してもらう仕組みです。LINE公式アカウントでは、貸主側から広告料がある物件は仲介手数料0円、広告料がない物件は2万円と案内されています。
借主が見つけた物件URLを送り、取扱い可能か確認してから内見・契約へ進む仕組みです。自分で候補物件を探せる方は、初期費用を比較する際の選択肢になります。
おへやの窓口
大阪を中心に展開する「おへやの窓口」は、2026年10月時点のLINE公式アカウントで、賃貸物件の仲介手数料0円と案内しています。
大阪では内見対応を行い、他エリアでは契約手続きのみ対応すると案内されています。対応物件・エリア・キャンペーン条件は変わる可能性があるため、利用前に公式案内と見積もりを確認してください。
仲介手数料が0円でも、礼金、保証会社利用料、火災保険料、鍵交換費用などが発生する場合があります。複数社を比較する場合は、契約時に必要な総額で比べましょう。
見積書で確認する5項目|仲介手数料だけで判断しない
- 媒介報酬:金額は税込か、0.55か月・1.1か月のどちらで算定しているか。
- 承諾のタイミング:借主負担が0.55か月を超える場合、媒介依頼の際にどのような説明・承諾があったか。
- 礼金・敷金・前家賃:貸主へ支払う費用と仲介会社の報酬を混ぜずに確認する。
- 保証会社・火災保険:必須か選択できるか、初回費用だけでなく更新費用も確認する。
- 鍵交換・消毒・サポート:契約上の条件、料金の根拠、任意サービスの有無を確かめる。
例えば、仲介手数料が44,000円安くても、別のサービス費用が同額以上加われば、初期費用の総額では逆転します。比較するときは同じ物件、同じ入居日、同じ契約条件で見積書を取りましょう。
よくある質問
Q.居住用賃貸で「借主から1.1か月」と言われたら?
すぐに違法と判断するのではなく、媒介を依頼したときの負担額の説明と承諾の有無を確認しましょう。納得できないときは、費用の根拠と内訳を契約前に書面やメールで確認しておくと安心です。
Q.仲介手数料0円なら、必ずお得ですか?
そうとは限りません。礼金や賃貸保証料、保険料、鍵交換費などを合わせた契約時の総額と、入居後にかかる継続費用を比較しましょう。
Q.管理会社に支払う費用も仲介手数料ですか?
管理委託料や賃貸住宅の管理に関する費用と、宅建業者が賃貸借契約の媒介で受け取る報酬は別です。契約書・見積書の名目、支払先、提供される業務を確認してください。管理会社側の仕事内容は不動産管理会社の業務フローで詳しく解説しています。
報酬上限の根拠:国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」。個別契約での報酬適法性は、物件用途や依頼・承諾の状況によって変わります。
まとめ
居住用建物の賃貸仲介では、貸主・借主から受ける仲介手数料の合計上限は賃料1.1か月分(税込)です。一方の依頼者から受ける額は原則0.55か月分(税込)までで、それを超えるには媒介依頼を受ける段階で本人の承諾が必要です。
仲介手数料が0円・定額のサービスもありますが、「手数料が安い=初期費用全体が必ず安い」とは限りません。礼金、保証料、保険料、鍵交換、消毒・サポートサービスなどを含め、見積書の総額と必須・任意の区別を確認しましょう。
同じ物件を複数社が扱っている場合は、仲介手数料だけでなく、説明の分かりやすさ、レスポンス、内見対応、契約手続きまで含めて比較すると選びやすくなります。
