築古の連棟住宅投資とは?メリット・利回り・修繕・出口戦略を解説
築古の連棟住宅(長屋・テラスハウス)は、戸建てより低い価格で売り出されることがあり、不動産投資の候補になることがあります。
ただし、連棟住宅は隣家と壁・屋根・基礎等が一体になっている場合があり、一般的な戸建て以上に、再建築、接道、切り離し、共有壁、越境、配管、修繕、融資、出口の確認が重要です。
連棟住宅投資は「安いから高利回り」とは限りません。購入前に、①一戸単独で再建築できるか、②切り離し・解体が可能か、③隣接住戸と共有する構造・屋根・配管等がないか、④大規模修繕費を含めても収支が合うか、⑤将来誰にどの状態で売れるかを確認する必要があります。
連棟住宅(テラスハウス)とは?
壁や屋根・構造の一部がつながる場合があります。建物・権利の状態は個別に確認してください。
連棟住宅は、一般に2戸以上の住戸が壁などを共有して連続して建つ住宅で、長屋・テラスハウスと呼ばれることがあります。共用廊下や共用階段を持つ共同住宅とは建築上の扱いが異なります。
築年数、構造、権利関係は物件ごとに異なり、戦後から高度成長期に建てられた築古物件も多く残っています。畳・襖などの和室中心の間取りもありますが、リフォーム済みの物件もあります。
特に重要なのは、「一戸だけ所有しているから戸建てと同じ」と考えないことです。建物が構造的につながっている場合、解体・切り離し・建替えは隣接住戸や建築基準法上の扱いに影響するため、購入前に行政・建築士・施工会社等へ確認が必要です。
連棟住宅投資のメリット
隣家と一体の場合、工事範囲を事前協議
漏水・老朽化・配管経路を確認
劣化や切り離しの可否を確認
購入価格と修繕費の総額で比較
①取得価格を抑えられる場合がある
連棟住宅は、権利関係や建物状態、再建築条件などの理由から、周辺の戸建てより低い価格で売り出されることがあります。そのため、少額で取得できる案件が見つかることはメリットです。
ただし、購入価格が安くても、切り離し補強、屋根・外壁、給排水、電気設備、シロアリ、残置物処分などで大きな費用がかかる場合があります。物件価格ではなく、賃貸開始までの総投資額で比較しましょう。
②条件次第で利回りを確保できる
取得価格が低く、修繕後に周辺相場に近い賃料で貸せれば、表面利回りが高くなる場合があります。
一方、築古連棟住宅では修繕費・空室期間・保険・税金・募集費・将来の大規模修繕を考慮すると、表面利回りと実際の手残りが大きく異なることがあります。リフォームによって必ず賃料を上げられるわけではないため、工事前に周辺の募集賃料と成約可能性を確認しましょう。
③割安な売出物件が見つかることもある
空き家や築古住宅の売却案件がある中で、連棟住宅が市場に出ることもあります。
ただし、空き家が増えていることと、投資向きの連棟住宅が増えていることは同じではありません。価格が安い理由が、再建築不可、接道不足、老朽化、共有部分、権利関係などにある場合もあります。
市場公開物件でも未公開物件でも、同じ基準で法令・建物・賃貸需要・出口を確認することが重要です。
購入前に必ず確認したい連棟住宅特有のポイント
| 接道・再建築 | 対象住戸の敷地が建築基準法上の道路に必要な形で接しているか。単独で再建築できるか。 |
|---|---|
| 切り離し | 一戸だけ解体・切り離しできるか。構造補強、雨仕舞、防火、隣家との協議が必要か。 |
| 共有・一体部分 | 界壁、屋根、基礎、梁、樋、配管、メーターなどが隣接住戸と共用・一体になっていないか。 |
| 境界・越境 | 土地境界、軒・雨樋・配管等の越境、通行・掘削に関する承諾の有無。 |
| 権利関係 | 土地・建物の登記、共有持分、借地、未登記増築などがないか。 |
| 出口 | 現況で売却、賃貸中で売却、隣家へ売却、切り離し後売却、建替え等の可能性。 |
連棟住宅の切り離しや建替えの扱いは、建物の構造と自治体の建築行政によって異なります。購入前に「将来切り離せば戸建てとして売れる」と決めつけず、特定行政庁・建築士・施工会社等へ確認しましょう。
連棟住宅投資のデメリット・注意点

①築年数が古くリフォームにお金がかかる
築古物件では、水回り、電気設備、内装だけでなく、屋根、外壁、基礎、給排水、シロアリ、雨漏り等の修繕が必要になる場合があります。
連棟住宅では隣接住戸と構造・屋根等がつながっていることもあるため、自分の住戸だけを直せば完結するとは限りません。購入前に修繕範囲と概算費用を確認しておくことが重要です。
②思わぬ高額の修繕費が必要になることも
連棟住宅では、水漏れ、シロアリ、構造部の劣化などが見つかり、補強工事が必要になるケースがあります。
耐震性や災害リスクは、築年数だけでなく構造、増改築、劣化状態、地盤等によって異なります。「連棟だから災害に弱い」と一律には言えないため、必要に応じて専門家による建物調査を検討しましょう。
③融資条件が厳しくなる場合がある
築古の連棟住宅は、再建築の可否、接道、築年数、担保評価、流通性などによって、金融機関の融資条件が厳しくなる場合があります。
ただし、融資可否は金融機関・申込人・物件ごとに異なります。現金購入を前提にせず、検討段階で金融機関へ資料を持ち込み、融資額・期間・金利・自己資金を確認しましょう。
連棟住宅投資で判断精度を上げるポイント

①不動産会社へ購入条件を具体的に伝える
連棟住宅を探す場合は、希望エリア・予算だけでなく、「再建築可のみ」「現金購入上限」「想定修繕費」「賃貸用」など条件を具体的に伝えると物件紹介を受けやすくなります。
担当者との関係性は大切ですが、「紹介されたから良い物件」とは限りません。資料・現地・法令・収支を自分の基準で確認しましょう。
②普段からネット情報を確認しておく
普段からネットの売り物件を確認しておくことも大切です。
SUUMO、at home、収益物件サイトなど公開情報でも連棟住宅が見つかることがあります。公開期間が長い物件は、価格だけでなく、再建築・接道・修繕など売れにくい理由がないか確認しましょう。
検索条件を保存し、新着物件を定期的に確認する方法は有効ですが、焦って申込みを入れるより、調査時間を確保することが重要です。
③信頼のできるリフォーム会社に依頼する
築古連棟住宅では、購入前の修繕見積もりの精度が収支を大きく左右します。安価な内装だけでなく、屋根・外壁・構造・給排水まで確認できる施工会社と相談できると安心です。
例えば、物件価格200万円、修繕費200万円、月額賃料4万円なら、年間満室賃料は48万円です。物件価格のみを分母にする一般的な表面利回りは24%(48万円÷200万円)ですが、修繕費を含む総投資額400万円に対する満室賃料の割合は12%(48万円÷400万円)です。取得諸費用、税金、保険、空室、管理費、募集費、追加修繕などを考慮すると、実際の手残り率はさらに変わります。
複数戸へ拡大する場合も、1戸目の実績と修繕費を検証してから資金繰りを考えましょう。
出口戦略は購入前に考える
連棟住宅は、購入後に「切り離して戸建てとして売ればよい」と考えると危険です。構造的に一体であったり、単独敷地では接道条件を満たさなかったり、隣家との協議が必要になったりする場合があります。
出口としては、賃貸中の収益物件として売却する、現況の連棟住宅として売却する、隣接所有者へ売却する、条件が整えば切り離し・建替えを検討するなど複数の方法があります。どれが可能かを購入前に確認しておきましょう。
連棟住宅投資でよくある質問
連棟住宅は1戸だけを解体・再建築できますか?
必ずできるとは限りません。敷地の接道条件、建築確認の内容、隣接住戸との構造的なつながり、所有権や境界の状況によって判断が異なります。購入前に建築士・行政庁・関係権利者へ確認しましょう。
連棟住宅の一部を切り離して工事する場合、何に注意しますか?
共有壁や屋根、基礎、給排水の取り合いに加え、残る建物の安全性、防水・耐震上の影響、隣接所有者との協議が必要となる場合があります。「自分の住戸だから自由に切り離せる」と判断せず、設計者や施工会社に確認してください。
表面利回りが高い連棟住宅なら購入してよいですか?
表面利回りは年間想定家賃を物件価格などで割った指標にすぎません。実際の判断では取得諸費用、補修費、税金、保険、空室、管理料、将来の売却しやすさも含めた収支を見ます。空き家投資の利回り計算・物件選びや築古アパートの収支・修繕事例も参考になります。
まとめ
築古の連棟住宅は、取得価格を抑えられる案件がある一方、一般的な戸建て以上に物件ごとの差が大きい投資です。
特に、接道・再建築、切り離し、共有壁や屋根、境界・越境、修繕、融資、賃貸需要、出口戦略を購入前に確認する必要があります。表面利回りだけで「安くて高収益」と判断しないことが重要です。
初めて検討する場合は、不動産会社だけでなく、建築士・施工会社・金融機関等にも確認し、分からない法的・構造的リスクを残さないようにしましょう。
