空き家売却の流れ7ステップ|相続登記・査定・解体・費用・税金
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相続した実家などの空き家を売却したいとき、「何から始める?」「家を片付けてから査定?」「相続登記がまだでも相談できる?」と迷う方は少なくありません。最初に所有者と権利関係を確認し、現況のまま査定してから売り方を比較するのが基本です。
この記事では、空き家売却の手順を7ステップに分けて、必要書類・仲介と買取の違い・解体判断・費用・相続空き家の税金・引渡しまで整理します。2026年10月27日時点で確認できる公的制度に基づく一般的な解説です。
空き家売却の流れを7ステップで解説
一般的な仲介で売る場合の流れです。査定と相続手続きは並行できますが、最終的な名義整理・引渡し条件は決済に間に合うように進めます。
STEP1|所有者・相続人と登記名義を確認する
まず登記事項証明書で土地・建物の名義を確認します。亡くなった親の名義のままなら、相続人の確定、遺言の有無や遺産分割協議、相続登記の手続きを進めます。共有名義の場合は、共有者全員の売却意思と署名・押印の段取りも確認しましょう。
相続登記は2024年4月1日に義務化され、原則として相続による取得を知った日から3年以内に申請します。施行前から未登記で、施行時点で取得を知っていた不動産は、原則2027年3月31日までが経過措置の期限です。正当な理由なく怠ると過料の対象になる可能性があります。
ただし、査定相談そのものは相続登記が終わる前でも可能です。買主への所有権移転登記に向けて、決済までに名義を整える計画を司法書士と立てます。遺産分割がすぐ整わないときは相続人申告登記という選択肢もありますが、これだけでは売却のための所有権移転登記に代わりません。
参考:法務省「相続登記の申請義務化」。専門家の役割分担は相続した不動産を行政書士・司法書士に相談する際の違いもご覧ください。
STEP2|必要書類と空き家の状態を整理する
すべての資料が揃わなくても査定は始められます。あるものから集め、見つからない資料は不動産会社・司法書士に確認しましょう。
| 確認する資料・項目 | 何のために確認する? |
|---|---|
| 登記事項証明書・登記識別情報(権利証) | 所有者、抵当権、土地・建物の表示、決済時の確認 |
| 戸籍・遺言・遺産分割協議書など | 相続人、持分、売主になれる人を確認 |
| 固定資産税の納税通知書・課税明細 | 税額や土地・建物の評価、精算の参考 |
| 公図・地積測量図・境界資料 | 土地面積、境界・越境、測量の要否を判断 |
| 建築確認・検査済証・図面・修繕履歴 | 建物の適法性・状態・補修履歴を確認 |
| 残置物・設備・雨漏り・シロアリなど | 処分範囲、告知、契約条件を決める |
遠方の空き家では、通水・通電、草木、郵便物、雨漏り、近隣への影響も確認します。問題があれば写真と時期をメモしておくと、査定時の説明や買主への告知がスムーズです。
STEP3|現況のまま査定し「仲介」と「買取」を比べる
最初の査定では建物を壊さず、複数社に同じ物件情報を伝えて比較するのがおすすめです。査定額の高さだけでなく、根拠となる成約事例、想定期間、解体・測量・残置物の費用負担、売却後の手取りを聞きましょう。

| 売り方 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 仲介 | 価格や買主の選択肢を広く検討したい | 販売期間や内覧対応が必要。仲介手数料が発生することがある |
| 不動産会社の直接買取 | 早期の現金化、残置物や建物状態の相談を重視 | 一般的に仲介の成約価格より低くなることがあり、複数の買取条件を比較したい |
買主が不動産会社そのものの場合は通常、売主側の仲介手数料は発生しません。ただし第三者が媒介する取引など形態により異なるため、手数料や現況引渡し条件を確認してください。
査定の読み方は持ち家を高く売るための査定・価格設定のコツ、AI査定の限界は不動産売却にAIを活用するときの注意点で詳しく解説しています。
STEP4|古家付き・中古戸建・更地のどれで売るか決める
空き家だからといって、先に解体・全面リフォームをする必要はありません。現況を踏まえ、買主のニーズと手取りを比較します。
建物を使える場合。内覧前の清掃や点検が重要。
解体時期や費用負担を買主と相談できる。
土地需要が強い場合に検討。ただし解体費・税金・再建築条件も確認。
解体すると住宅用地に対する固定資産税等の特例が適用されなくなる場合があります。住宅を壊す前に、1月1日の課税時点、土地の利用・再建築可否、接道・境界、解体費用を確認してください。また、建物の解体・改修には石綿(アスベスト)事前調査等が必要になることがあります。
詳しくは解体・改修前の石綿事前調査と報告義務をご覧ください。なお、相続空き家の税控除では耐震改修や取壊しの時期も要件に関係するため、契約前に税理士へ確認しておきましょう。
STEP5|媒介契約を結び、販売活動を始める
仲介で販売する会社を決めたら、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介から契約形態を選びます。複数社に依頼できるか、販売状況の報告頻度、指定流通機構(レインズ)への登録、自己発見取引の扱いなどが異なります。
- 査定根拠、販売媒体、写真撮影、内覧対応、価格見直し時期を確認する
- 境界確定・残置物処分・建物解体など、売主負担の条件を整理する
- 売買契約前に、雨漏り・シロアリ・設備不具合などの告知情報を共有する
- 媒介契約時に仲介手数料の計算方法と上限、特例の適用の有無を確認する
レインズの売主専用画面などは国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」も参考になります。
STEP6|売買契約を結び、引渡し条件を確定する
購入申込みの後、価格・手付金・決済日・融資条件・契約不適合責任の範囲などを調整して契約します。築古空き家では特に次の点を曖昧にしないことが大切です。
- 境界・越境・測量:どこまでを売主が明示・是正するか
- 雨漏り・シロアリ・傾き・設備:把握している不具合と修補・責任の範囲
- 家具・家電・残置物:何を撤去し、何を残して引き渡すか
- 解体・滅失登記:誰がいつ行い、費用を負担するか
- 手付解除・ローン特約・引渡し日:解除条件と期限
「古いからすべて免責」と考えるのは危険です。売主が知っている事情は隠さず仲介会社に伝え、物件状況報告書や契約条項へ正確に反映します。
STEP7|残代金決済・鍵の引渡し・確定申告
決済日には残代金の受領、登記関係書類の確認、所有権移転登記の申請、鍵や資料の引渡しを行います。抵当権がある場合は抹消手続き、固定資産税等は契約上の定めに応じた精算も行います。
売却後は契約書・仲介手数料領収書・登記費用・取得費や改良費の資料を保存します。譲渡益が出た場合や、利益がなくても特別控除を使う場合などは、原則翌年の確定申告で必要な手続きを確認してください。
空き家売却にかかる費用と手取りの考え方
売却金額がそのまま手元に残るわけではありません。見積書を比較するときは、以下の項目を一枚に整理しましょう。
| 費用・税金 | 確認するポイント |
|---|---|
| 仲介手数料 | 仲介で成約した場合。上限額や低廉な物件の特例は事前に確認 |
| 印紙税 | 紙の売買契約書など課税文書を作成する場合。契約金額等により異なる |
| 相続登記・抵当権抹消など | 登録免許税、司法書士報酬など。必要な手続きによって異なる |
| 測量・境界確定 | 測量の要否、隣地との調整、費用を負担する人を確認 |
| 家財整理・解体・修繕 | 現況引渡しの可否、複数見積り、アスベスト調査の要否 |
| 譲渡所得税・住民税など | 取得費・譲渡費用・所有期間・各種特例に応じて計算 |
手取り額の目安=売却代金-仲介手数料-登記・測量・撤去等の諸費用-売却に伴う税金。売却方法を比べるときは、査定額だけでなく、この概算手取りと売却までの期間・手間を並べて検討してください。
相続した空き家の3,000万円特別控除|条件と期限
相続した空き家を売却する際、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度があります。2024年1月1日以後の譲渡で、対象家屋・敷地を取得した相続人が3人以上の場合は1人あたり最高2,000万円です。控除額がそのまま還付される制度ではありません。
- 原則として1981年5月31日以前に建築された一戸建て等で、区分所有建物ではない
- 原則、被相続人が一人で居住し、相続後は居住・貸付・事業に使っていない(老人ホーム等の例外あり)
- 売却代金が1億円以下(分割売却や他の相続人の売却も判定に影響する場合あり)
- 相続開始から3年を経過する年の12月31日まで、かつ制度上2027年12月31日までに売却する
- 耐震基準適合・取壊し等の条件を満たす。2024年以後の譲渡では、買主による譲渡翌年2月15日までの耐震改修・取壊しも一定条件で対象
- 親子・夫婦など特別関係者への売却や、他の特例との重複に制限がある
実際の適用には被相続人居住用家屋等確認書をはじめ添付書類や申告が必要です。土地だけ・マンション・空き家になった時期が古い案件などは特に条件をよく確認してください。
一次情報:国税庁 No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(2026年4月1日現在法令等)。なお、控除の適用可否は個別の事実関係によるため、工事・契約の前に税理士や税務署に確認してください。
空き家売却でよくある質問
Q1.相続登記が終わっていなくても査定できますか?
はい。査定や販売方針の相談は先に進められます。ただし、最終的な買主への所有権移転登記には、通常、相続登記や権利関係の整理が必要です。司法書士と決済までの予定を確認しましょう。
Q2.家具や家電を残したまま売れますか?
買主との合意があれば、残置物を残したまま引き渡せる場合があります。ただし、どの物を残すか・処分費を誰が負担するかを契約書に明記してください。査定前に全処分する必要はありません。
Q3.解体して更地にした方が高く売れますか?
必ずしもそうではありません。解体費用、建物の利用価値、再建築可否、固定資産税等の扱い、税制特例を比較してから決めます。古家付きと更地の両方で査定を取ると判断しやすくなります。
Q4.売却までの期間はどれくらいですか?
相続関係の整理、測量、家財処分、価格設定、買主の融資審査などで変わります。数週間で進む買取と、買主を募集する仲介では期間が異なるため、引渡し希望日を伝えて販売計画を確認してください。
Q5.売れなかったら賃貸や保有を検討できますか?
可能ですが、修繕費・賃貸需要・管理負担・固定資産税・相続空き家特例との両立を比較する必要があります。特に特例には「相続後の貸付け・事業利用がないこと」等の要件があります。賃貸による活用の論点は空き家投資の利回り・失敗リスクも参考になります。
売却前に避けたい5つの失敗
- 査定前に建物を解体して、費用・固定資産税・特例の条件を見落とす
- 売主となる相続人や共有者の合意を後回しにする
- 費用をかけて全面改修したのに売却価格へ反映できない
- 雨漏りや設備の不具合を買主に伝えず、契約後に問題になる
- 高い査定額だけで決め、実際の販売計画や手取りを比較しない
まとめ|空き家売却は「権利確認→現況査定→売り方の比較」から
空き家売却の順番で大切なのは、①名義・相続人の確認、②現況と必要書類の整理、③査定、④解体・現況販売の比較、⑤媒介契約と販売、⑥売買契約、⑦決済・引渡しと申告です。相続空き家の税制特例は工事・契約時期と関係するため、早い段階で専門家に相談しましょう。
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制度・一次情報の最終確認日:2026年10月27日。個別物件の法的手続きは司法書士・弁護士等、税額・特例は税理士・税務署、売買条件は宅地建物取引業者へご確認ください。画像は実在物件の写真ではなくイメージです。
