不動産売却

不具合のある中古住宅は売れる?契約不適合責任と告知書をやさしく解説

中古住宅の売却時の不具合告知と契約不適合責任を説明する統一アイキャッチ
SPGメディア

不動産エキスパート|はじめての不動産売却
本記事にはアフィリエイト広告が含まれます。

先に押さえたい3つのこと

不具合がある家でも、状態と条件を買主に説明して売れる場合があります。修理を急ぐ前に「何が分かっているか」を整理し、修理・価格・引渡し後の責任を決めましょう。

  • 「現況渡し」と書くだけで、すべての責任がなくなるわけではありません。
  • 知っている不具合と、調べていない箇所を分けて説明します。
  • 修理した費用を、そのまま売却価格に上乗せできるとは限りません。

家を売ろうとしたら天井に雨染みが見つかった。以前、水漏れを修理したことがある。まずは状態を記録し、仲介会社に伝えるところから始めましょう。法律の用語は、売主に必要な意味から説明します。

契約不適合責任とは、どんな責任?

契約で約束した内容と、引き渡した家の状態が違うときに、売主が負うことのある責任です。「けいやく・ふてきごう・せきにん」と読みます。

雨漏りで考えると分かりやすい

「雨漏りのない家」として契約したのに、引き渡した時点で雨漏りがあった場合は、契約で約束した品質と違うことが問題になります。

一方、雨漏りの場所や状態を説明し、誰が修理するかまで具体的に合意して売る場合は、その合意内容を踏まえて判断します。伝えた一言だけで、どんな責任も免れるわけではありません。

法律の言葉 簡単にいうと
追完請求 修理などをして、約束した状態にしてほしい。
代金減額請求 条件が満たされた場合に、代金を減らしてほしい。
損害賠償請求 条件が満たされた場合に、生じた損害を補ってほしい。
契約解除 条件が満たされた場合に、契約を解消したい。

4つがいつでも自由に認められるわけではありません。修理を求める手順、不具合の程度、売主側の責任原因など、請求ごとに条件が異なります。

「現況渡し」と「責任を負わない」は別

現況渡しは、一般に今の状態で家を引き渡すことです。免責は、一定の責任を負わないという取り決めです。意味が違うため、契約書では別々に確認します。

「現況渡しだから大丈夫」と決めつけない

民法では、責任を負わない特約があっても、売主が知りながら伝えなかった事実については、その責任を免れません。既知の雨漏りや修理履歴などを隠さず、書面に残すことが大切です。

また、売主自身が宅建業者か、個人かで適用されるルールが異なります。仲介会社が不動産会社というだけで、売主が宅建業者になるわけではありません。

宅建業者が売主で買主が宅建業者ではない場合、契約不適合責任について買主に不利な特約を設けることには法律上の制約があります。事業者と消費者の契約では、消費者契約法の確認も必要です。免責の範囲は契約ごとに確認してください。

シンク下の排水管をライトで照らして点検する担当者のイメージ
点検した場所と、確認できていない場所を分けて記録します。
※説明用のイメージ画像です。

契約不適合責任はいつまで?通知期限を確認

中古住宅の雨漏りなど、種類・品質に関する不具合では、まず「売主の立場」と「契約の特約」を確認します。以下は2020年4月1日以降に締結した売買契約についての基本的な整理です。

基本|知ってから1年以内に通知

有効な別の特約がない場合、民法566条では、買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ知らせる必要があります。引渡しから1年で一律に終わる、という意味ではありません。

個人間売買|契約の特約も確認

責任の対象や通知期限を契約で定める場合があります。「引渡しから3か月以内に通知」といった条項があれば、どの不具合に適用されるか、有効な内容かを確認します。3か月は全国共通の法定期限ではありません。

宅建業者が売主|特約に制限

買主が宅建業者でない場合、民法より買主に不利な特約は原則として禁止されます。ただし、通知期間を引渡しの日から2年以上とする特約は可能です。責任を一律に免除するなどの不利な特約は認められません(宅建業法40条)。

売主が引渡し時に不適合を知っていた場合や、重大な過失で知らなかった場合は、民法566条の1年の通知制限には例外があります。また、知りながら告げなかった事実は、免責特約があっても責任を免れません(民法572条)。個人でも事業として売る場合などは、消費者契約法の適用も確認します。

「知らせる期限」と「請求権の時効」は別

1年以内に通知すれば、いつまでも請求できるわけではありません。請求権には、原則として権利を行使できることを知った時から5年・権利を行使できる時から10年という消滅時効も関係します(民法166条)。期限の数え方や時効の更新などは個別事情で変わるため、期間だけで責任の有無を判断しないでください。

契約書で担当者に聞く3点

  • 雨漏り・配管・設備の故障で、対象や通知期限は分かれていますか。
  • いつを起点に、いつまでに、誰へどの方法で通知する契約ですか。
  • 契約上の責任と、売主・施工会社のアフターサービス保証はどう違いますか。

参照:民法166条・566条・572条/宅地建物取引業法40条・78条。仲介会社が入るかではなく、売主自身が宅建業者かどうかを確認します。

売却前に記録したい不具合

不具合 残しておく情報
雨漏り・雨染み 場所、発生した時期、どんな天候で起きたか、修理履歴。
水漏れ・排水の詰まり 場所、頻度、調査した範囲、修理や配管交換の範囲。
シロアリ・腐食 指摘された箇所、点検結果、防除・補修の記録。
給湯器・エアコンなど 動作確認の日、故障の症状、残すか撤去するか。

写真、見積書、工事報告書、保証書をまとめます。「古いから問題ない」「修理したから完全に直った」と、自分の推測だけで断定しないでください。

告知書は「今・過去・不明」を分けて書く

告知書(物件状況報告書)は、売主が知っている家や土地の状態を買主に伝える書類です。仲介会社の書式を使い、質問に沿って事実を記入します。

① 今、確認できること

「2階の天井に雨染みがあります」など、目で見た状態を書きます。

② 過去に起きたこと

「5年前に雨漏りがあり、屋根の一部を修理しました」など、履歴を書きます。

③ 分からないこと

「屋根裏は未調査です」など、確認できていない範囲を書きます。

記載例|過去に雨漏りを修理した家

「5年前、2階天井に雨漏りが発生し、屋根の一部を補修しました。工事報告書があります。現在も天井に染みが残っています。補修後、居住中に新たな漏水は認識していませんが、屋根裏内部の調査はしていません。」

説明用の仮の例です。自分の物件で確認した事実に置き換え、担当者と内容を確認してください。

「分からない」と書けば何も調べなくてよい、という意味ではありません。確認できる資料を集め、必要な調査を担当者・専門家と相談します。契約後に新しい不具合が分かった場合も、引渡しまで黙っておかず、すぐ伝えましょう。

修理して売る?そのまま売る?

修理してから売る

原因と費用が分かっている場合に検討します。修理の範囲・再発時の対応・保証を確認しましょう。

状態を説明して売る

買主がリフォームする予定なら、買主側で直す条件を相談する方法があります。どの不具合を引き受けるかを書面で確認します。

費用を考えて価格を調整

修理の見積もりを参考に価格を相談します。値引きだけで未説明の不具合や責任の問題がなくなるわけではありません。

不動産会社へ直接売る

買取を比較する方法もあります。価格だけでなく、既知の不具合の扱いと、売主に残る責任を確認します。

修理費80万円なら、80万円高く売れる?

必ずしもそうではありません。仮に修理前の売却見込みが2,000万円、80万円かけた後が2,050万円なら、売却代金から修理費を引いた額は1,970万円です。

ほかの費用・税金を除いた仮の比較です。修理後の価格も保証ではなく、修理による売りやすさや責任の条件も合わせて判断します。

高額な工事を頼む前に、古家を残すか解体するか、最終的な手取りも確認しましょう。

建物の点検を受ければ、全部安心?

インスペクションは、建物の状態を調べる点検・調査です。宅建業法の建物状況調査に当たる既存住宅状況調査では、一定の資格・講習要件を満たす建築士が、定められた範囲と方法で調べます。

ただし、すべての配管内部・壁の中・設備を確認できるわけではありません。調査と、修理工事や保証は別です。依頼前に「調べる場所」「調べられない場所」「追加の調査が必要な場合」を聞きましょう。

雨漏りの原因や配管の状態など、通常の調査で分からない点は、専門業者の追加調査が必要になる場合があります。

契約前・引渡し後にすること

契約前のチェック

  • 知っている不具合と修理履歴を告知書に書いた。
  • 残す設備と作動状況を付帯設備表に書いた。
  • 売主と買主のどちらが、どこまで修理するか決めた。
  • 契約書と告知書の説明に食い違いがない。
  • 責任を負う範囲、通知の期限、連絡先を確認した。

引渡し後に「水漏れした」と連絡が来たら

  1. 発見日、場所、写真、症状を確認し、記録を残す。
  2. 仲介会社へ連絡し、契約書・告知書・設備表を確認する。
  3. 原因調査、応急対応、費用負担を関係者で整理する。
  4. 責任で意見が分かれる場合は、弁護士などへ相談する。

安全確保や被害を広げない応急対応は優先します。そのうえで「必ず全部払う」「一切責任はない」と即答せず、契約内容と発生原因を確認しましょう。

よくある質問

売主が知らなかった不具合なら責任はない?

知らなかったことだけで、すべての責任がなくなるとは限りません。契約内容や免責特約、請求の種類などによって判断が変わります。

買主がリフォームするなら説明はいらない?

知っている不具合は伝えます。リフォーム予定があることと、どの不具合を買主が引き受けたかは別です。

どの家も引渡しから同じ期間、責任を負う?

一律ではありません。民法上の通知期間、契約の特約、売主が宅建業者かどうかなどで異なります。通知の期限と消滅時効も別の問題なので、契約書で具体的に確認してください。

まず、ここから始めましょう

気になる箇所を写真に撮り、発生時期・修理履歴・未確認の範囲を1枚のメモにまとめましょう。まず事実をそろえると、修理するか、そのまま売るかを相談しやすくなります。

この記事の制作と確認方法

制作:不動産エキスパート(SPG MEDIA)
この記事では、告知書の記録と、修理・責任・通知期限の確認を、読者が担当者と相談できる形に整理しています。

法令・制度は公的資料を参照し、モデルケースは説明用と明記しています。制作にはAIを使用しています。特定の専門家による個別案件の判断を示すものではありません。運営者情報・編集方針/運営事業者の表記

参考資料・情報の確認日

情報確認日:2026年10月31日。法令・制度は公的・専門機関の資料、事業者の費用例は公表された条件を参照しています。準備の手順・比較表・モデルケースは当サイトで整理しました。

物件・契約・調査の条件によって必要な対応は異なります。個別の登記・法律・税務・建物調査は、担当の専門家に確認してください。

NEXT STEP

次に知りたいテーマへ進む

読み終えた内容に近いテーマを続けて確認するか、具体的なサービス比較へ進めます。

※記事内に広告・プロモーションを含む場合があります。
ABOUT ME
記事URLをコピーしました