連棟住宅の一戸だけ売却できる?隣家の同意・価格・売り方を解説
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「隣の家と壁がつながっているけれど、自分の家だけ売れる?」
連棟住宅(長屋・テラスハウス)の売却で、最初に迷いやすい点です。結論からいうと、切り離し工事をしなくても、一戸だけ売却できる場合があります。
まず押さえたい 3 つのこと
「売れるか」と
「壊して建て替えられるか」は、別の話です。
最初から解体を決めず、今の建物をそのまま売る条件を確認しましょう。
- 1自分の一戸として売れる権利かを、登記の書類で確認する。
- 2隣家の同意が必要かは、売買と工事を分けて考える。
- 3売値だけでなく、費用を引いて手元に残る金額で比較する。
01 / 売却の基本連棟住宅は一戸だけ売れる?
その一戸を売る権利が明確で、土地の権利も確認できれば、一戸だけの売却を検討できます。建物がつながっていることだけを理由に、売却をあきらめる必要はありません。
ただし、普段「自分の家」と呼んでいる範囲と、登記上の所有範囲が同じとは限りません。まずは土地・建物の書類を、不動産会社や司法書士と確認します。
切り離さずに売る方法もあります
そのまま売る
今の建物と土地の権利を買主へ引き継ぎます。切り離し工事は売却の必須条件ではありません。
一戸だけ壊す
隣家の壁・屋根・安全性への影響を確認します。承諾や工事方法の検討が必要です。
建て替える
道路への接し方、敷地の範囲、建築のルールを確認します。売却できても建て替えられるとは限りません。
書類では、どのような所有になっている?
- 一戸ごとに建物が登記されている:その建物と土地の権利を確認します。戸別の登記があっても、建て替えの可否は別です。
- 区分建物として登記されている:自分だけが所有する部分と、屋根・壁などの共用部分、土地を利用する権利を確認します。
- 建物全体の共有持分になっている:建物全体に対する「所有割合」を持っている状態です。持分を売ることと、特定の一戸を自分だけの所有物として売ることは異なります。
書類が分からなくても、相談は始められます。
「一戸だけ売りたいが、登記の形は分からない」と伝えて大丈夫です。建物の見た目だけで判断せず、書類と現地を照らし合わせてもらいましょう。
02 / お隣との関係隣家の同意は必要?
売買そのものに、必ず隣家全員の同意が必要とは限りません。一方、つながった屋根や壁を壊す工事は、別の確認が必要です。
そのまま売る場合
自分が売れる権利の範囲を確認します。土地の共有、借地、管理規約などがある場合は、その条件も調べます。
「隣が反対=売却できない」とは決めつけないこと。
切り離し・解体をする場合
隣家の安全性や雨漏りに影響する可能性があります。必要な承諾・決議、補強や防水の方法を専門家と確認します。
「自分の家=自由に壊せる」とは考えないこと。
大阪府の長屋の維持保全資料でも、一棟でつながる長屋の一部を、他の区分所有者等の承諾なしに解体・切り離ししないよう案内しています。
区分所有に当たる長屋には区分所有法が関係します。2026年4月施行の改正によって、一戸を自由に切り離せるようになったわけではありません。必要な同意・決議は、権利関係と工事内容に応じて確認します。
03 / 査定前の準備売却前に確認したい7つのこと
すべてを自分で調べてから相談する必要はありません。分かることを伝え、分からない項目は「未確認」にするだけでも、相談を進めやすくなります。
- 登記(とうき)
- 土地や建物の所有者・権利などを、法務局の記録に載せることです。
- 接道(せつどう)
- 土地が道路にどのように接しているか、という意味です。建て替えの判断に関わります。
- 再建築不可
- 現在の条件では、建物を壊した後に新しく建てることが認められない状態です。売却できるかどうかとは別の話です。
- 01家は、誰の名義になっている?
建物の所有者と登記の形を確認。登記に反映されていない増築がないかも調べます。
- 02土地も自分のもの?
自分だけの所有、他の人との共有、借りている土地のどれかを確認します。
- 03道路にどう接している?
一戸だけで建て替える場合に、道路と敷地の条件を満たすか確認します。
- 04お隣と共用している部分は?
屋根、壁、基礎、雨樋、配管、メーターなど。過去の修理費をどう分担したかも手がかりです。
- 05境界や、お隣との取り決めは?
土地の境目、雨樋や配管のはみ出し、通行・工事の承諾書や覚書を確認します。
- 06雨漏りや傷みはある?
シロアリ、傾き、設備不良、補修履歴など、分かっていることを伝えます。
- 07住んでいる人や、ローンは?
居住中・空き家・賃貸中の状況、ローンの担保、相続や借地の関係を確認します。
04 / 価格の考え方いくらで売れる?再建築不可だと安くなる?
連棟住宅だから、一律に何割安くなるという決まりはありません。場所や広さに加え、買った後に「住めるか・直せるか・建て替えられるか」で、購入を検討する人の範囲が変わります。
査定で見られるのは、主にこの3点です。
- 誰が、どの部分を所有しているかが明確か
- 今の建物を使えるか、修理にいくらかかりそうか
- 建て替えや住宅ローンの利用に制約があるか
例えば、すぐに住める一戸と、雨漏りがあり屋根の修理に隣家との調整が必要な一戸では、同じ広さ・築年数でも買主の判断は変わります。
不動産会社には、査定額だけでなく、「どんな買主を想定して、その金額になるのか」まで説明してもらいましょう。査定額と売出価格は同じではありません。
道路に接していれば建て替えられる?
それだけでは決まりません。都市計画区域・準都市計画区域などでは、原則として建築基準法上の道路に敷地が2m以上接する必要があります。道路は通常幅員4m以上ですが、道路の種類や例外、条例によって判断が変わります。
連棟住宅はさらに、一戸だけの敷地の取り方、残る建物の安全性、建築確認の扱いも確認が必要です。所在地の建築行政窓口と建築士に相談します。
建て替えずにリフォームするなら大丈夫?
工事内容によります。2025年4月以降、木造2階建てなどの大規模な修繕・模様替は、建築確認の対象となっています。
「内装の交換だけか」「柱・屋根などに及ぶ工事か」「共用部分に影響するか」を建築士に確認しましょう。連棟住宅は、一戸の広さだけでなく一棟全体の規模も判断に関わります。国土交通省の建築確認の案内も参考になります。
05 / 売り方を選ぶ仲介・買取・隣家への売却を比べる
まず、建物をそのまま売る条件を比べましょう。希望価格・売りたい時期・負担できる費用を整理すると、相談先を選びやすくなります。
| 売り方・相手 | こんなときに検討 |
|---|---|
| 仲介 | 購入希望者を広く探したい |
| 業者の買取 | 売却時期や条件を早く決めたい |
| 隣家の所有者 | 隣家と一緒に使う人を探したい |
① 不動産会社の仲介で売る
不動産会社が購入希望者を探す方法です。自宅として住みたい人、リフォームしたい人、賃貸用に買いたい人などに販売します。
確認すること:売れそうな価格、販売期間の見通し、買主が住宅ローンを使えるか。調査や融資の審査に時間がかかる場合があります。
② 連棟住宅を扱う業者へ買取を相談
業者が直接買い取る方法です。対応できる物件なら、売却時期や引渡し条件を早く決められることがあります。
買取価格には修理・再販売・保有の費用などが織り込まれるため、仲介の想定成約価格より低くなることがあります。
確認すること:実際の買取額、家具などを残せるか、売主が修理する必要があるか。同じ条件で複数社を比べましょう。
③ 隣家の所有者に購入意向を確認
隣家と一体で使ったり、修理計画を立てやすくなったりする場合があります。ただし、必ず買ってもらえるわけではありません。
確認すること:購入する意思と資金、境界や共用部分の扱い。隣家への売却も、不動産会社の仲介で進められます。
06 / 工事を決める前に高く売れても、手取りが増えるとは限らない
切り離し工事で売値が上がっても、工事費や補修費がそれ以上にかかることがあります。「売却価格 − 売るためにかかる費用」で比較することが大切です。
下の数字は計算の考え方を示す架空の例です。連棟住宅の相場や、実際の工事費を示すものではありません。
A|そのまま売る
- 売却価格
- 1,200万円
- 仲介手数料
- −46.2万円
- 先行する工事費
- 0円
上記の費用を引いた残額1,153.8 万円
B|切り離して売る
- 売却価格
- 1,500万円
- 仲介手数料
- −56.1万円
- 切り離し・補修費
- −400万円
上記の費用を引いた残額1,043.9 万円
この例では、300万円高く売れても、残額は109.9万円少なくなります。
工事後の価格だけで決めず、そのまま売る場合と比較しましょう。
仲介手数料は、課税事業者の法定上限「(売買価格×3%+6万円)×1.1」で計算。売買価格に消費税等相当額を含まない前提です。印紙税、登記・測量費、譲渡所得税、ローン残債・抵当権抹消費、固定資産税等の精算は含まないため、上記は最終的な手取り額ではありません。工事の実行可否も未確認の仮定です。
実際には、工事期間中の保有費用や隣家との調整も考慮します。売却後の手取り計算、古家を解体して売るかの判断もご覧ください。手数料の基準は大阪府の報酬告示で確認できます。
07 / 相談から引渡しまで一戸だけ売却する5つのステップ
- 1手元の書類を集める
登記の書類、固定資産税の通知、図面、修理の記録、隣家との覚書など。足りない資料は相談時に確認します。
- 2家の状態と権利を調べる
所有範囲、道路、共用部分、傷みを確認。登記事項証明書や公図、地積測量図、建築確認資料などと照らし合わせます。
- 3仲介と買取の条件を比べる
同じ情報を複数社に伝え、想定価格・売却時期・売主の負担を比較します。
- 4買主に条件を伝えて販売する
雨漏りなど分かっている不具合を説明します。建て替えや切り離しが未確認なら、未確認と伝えます。
- 5契約内容を確認し、引き渡す
必要な承諾、残す家具・設備、修理費、ローン返済・担保の抹消、引渡し日を決めます。
そのまま使える相談例文
連棟住宅のうち、自分が所有する一戸だけを売りたいと考えています。切り離しや、一戸だけで建て替えられるかは未確認です。まずは建物をそのまま売る場合の仲介価格と、買取の条件を比較したいです。
住所、何戸連棟のうちの何戸目か、居住中・空き家・賃貸中の別、分かる範囲の築年数・不具合・修理履歴、売却希望時期を添えると伝わりやすくなります。
契約前に「誰が・何を・いつまでに」を決める
買主が建て替えや切り離しを前提にするなら、「未確認」と伝えるだけで終わらせず、可否を調べる担当・期限・条件が整わなかった場合の扱いを仲介会社と整理します。
- 隣家の承諾や行政への確認は、誰がいつまでに行うか
- 外壁の防水・補強・配管の切替え費用は、誰が負担するか
- 家具、設備、覚書、修理記録を、どのように引き継ぐか
「そのまま渡す」だけで、売主の責任がなくなるわけではありません。
契約で約束した内容と実物が異なる場合の責任を「契約不適合責任」といいます。把握している不具合は具体的に伝え、責任の範囲・期間を確認しましょう。
詳しくは不具合のある家を売るときの説明と責任をご覧ください。
08 / 気になる疑問連棟住宅の一戸売却でよくある質問
切り離さずに一戸だけ売れますか?
可能な場合があります。建物と土地の権利、登記上の所有範囲を確認し、まずは切り離さない売却を相談してください。
お隣が反対したら、売却できませんか?
売買自体に、必ず隣家の同意が必要とは限りません。ただし、共有・借地・管理規約などの条件や、売却に伴って工事をする場合は個別の確認が必要です。
建て替えられない家でも査定できますか?
査定の相談はできます。現在の建物の利用や改修、賃貸、隣家への売却などを検討できる場合があります。利用できる範囲と価格は物件ごとに異なります。
建物全体の共有持分しかない場合は?
自分の持分を売ることと、特定の一戸を単独所有として売ることは異なります。共有者との使用の取り決め、土地の権利、登記を司法書士などに確認します。
切り離す工事をすれば高く売れますか?
必ず高く売れるとは限りません。工事ができるかを確認したうえで、解体・補強・防水などの費用を差し引き、そのまま売る場合と比較します。
住宅ローンが残っていても売れますか?
決済時の返済と、担保である抵当権の抹消を組み込めれば進められる場合があります。売却代金で返済しきれないときは、不足額の準備も必要です。ローンが残る家の売却方法で詳しく解説しています。
まずはここから
「切り離せないから売れない」と決める前に、そのまま売る条件を確認しましょう。
手元の資料を集め、連棟住宅を扱った経験のある不動産会社へ相談する。それが、一戸だけの売却を考える最初の一歩です。
購入する側が重視する点も知りたい方は、連棟住宅投資の修繕・融資・売却の注意点をご覧ください。
参考にした公的資料・編集情報
制度の確認日:2026年11月8日
この記事は一般的な売却の考え方を整理したものです。個別の売却・工事の可否は登記、建築確認、所在地の条例、契約内容などで異なります。建築士、司法書士、行政窓口、必要に応じ弁護士に確認してください。
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