賃貸不動産経営管理士は意味ない?役立つ人・宅建との違い・取得費用
情報確認日:2026年10月17日|編集:SPGメディア
資格を取るか迷っている方へ
「意味ない」とは限りません。賃貸管理で使う予定があるなら、取得を検討する価値があります。
賃貸不動産経営管理士(賃管士)は、賃貸住宅の管理に関する国家資格です。主な取得価値は、業務管理者の要件につながることと、契約・設備・お金の管理を体系的に学べること。制度上の条件と、仕事での活かし方を分けて解説します。
一方で、取得だけで転職や収入アップが決まるわけではありません。担当したい仕事・宅建士の有無・勤務先の評価を確認すると、今取るべきか、後回しでよいかを判断しやすくなります。
取得を検討
賃貸管理を担当する人
管理部門への配属予定や、管理の仕事を続けたい意思がある。資格の知識を使う場面が見えている。
先に条件を確認
宅建士を持っている人
業務管理者になることが目的なら、指定講習等のルートも比較。勤務先の資格手当も確認する。
後回しも選択肢
使う予定がまだない人
売買仲介などが主業務で、管理を担当する予定がない。今の仕事に必要な知識を先に学ぶ判断もできる。
上の区分や本文の優先度は、編集部による判断の目安です。法律上の取得義務や各社の採用基準を示すものではありません。
資格が役立つ人・優先度が低い人を仕事別に比較
取得価値を考えるときは、資格名より先に担当業務を確認しましょう。同じ不動産会社でも、管理・仲介・仕入れでは使う知識が異なります。
| 現在・希望する仕事 | 優先度の目安 | 判断するときのポイント |
|---|---|---|
| 賃貸管理会社の管理担当 | 高い | 維持保全、管理受託契約、入居者・オーナー対応の知識を使いやすい |
| 管理部門の責任者・独立希望者 | 高い〜中程度 | 業務管理者の体制づくりに関係する。宅建士の指定講習ルートとも比較する |
| 宅建取得済みで賃貸仲介が中心 | 中程度 | 管理まで担当するなら検討しやすい。仲介専任なら優先課題と比べる |
| 売買仲介・用地仕入れが中心 | 低い〜中程度 | 査定、契約、建築・開発関係など、目の前の業務に直結する学習を優先する選択もある |
| 自分の賃貸物件を管理する大家 | 目的次第 | 管理を学ぶ意味と、試験・資格登録まで行う意味を分けて考える |
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同じ資格でも、使い道が違えば結論は変わる
判断例 A
管理部門への異動が決まっている
管理受託契約や設備対応を学び、異動後の仕事に備える目的があります。勤務先の取得支援や選任予定も確認すると、受験の理由が具体的になります。
判断例 B
売買仲介の基礎を固めている
管理を担当する予定がなければ、査定や契約実務の学習を先にする判断も合理的です。取得後に何をするかが見えてから再検討できます。
上の2例は、取得判断を説明するための架空のケースです。
自主管理が目的なら大家が賃管士を学ぶメリット、学生のうちに受けるか迷っているなら学生の取得メリットと就職への活かし方で、立場に合う判断材料を確認できます。
実務では「何を確認して、誰に説明するか」に活きる
例えば、入居者からエアコンの故障連絡を受けた場面。設備の契約上の扱い、修理手配の範囲、オーナーへの報告、対応記録などを整理する必要があります。資格の学習は、こうした確認項目の抜けを減らすための基礎になります。実際の対応は、契約内容と現場の状況に合わせて判断します。

仕事の範囲や一日の流れは、不動産管理会社の仕事内容で詳しく紹介しています。
賃貸不動産経営管理士が「意味ない」と言われる3つの理由
1.宅建士のような独占業務を期待すると違いがある
宅建士には、不動産取引における重要事項説明など、資格者が担う業務があります。一方、賃貸住宅の管理受託契約の重要事項説明を「賃管士だけの独占業務」と説明するのは正確ではありません。
国土交通省のFAQでは、管理受託契約の重要事項説明を業務管理者本人が行うことまでは必須としていません。ただし、契約する管理業者の従業員が説明する必要があり、専門知識・経験のある人が担当することが推奨されています。「独占業務ではない」ことと、「知識がなくてもよい」ことは別です。出典:国土交通省「よくある質問」管理受託契約に係る重要事項説明等。
2.宅建士にも業務管理者になるルートがある
業務管理者になる道は、賃管士試験を受けるルートだけではありません。宅建士が管理業務の実務経験等を満たし、指定講習を修了するルートもあります。すでに宅建士を持っているなら、資格を増やしたいのか、業務管理者の要件を満たしたいのかを分けて考えると判断しやすくなります。
3.合格と収入アップが自動で結び付くわけではない
資格手当や昇進への評価は勤務先によって異なり、資格だけで採用や年収が保証されるわけではありません。「国家資格だから収入が増えるはず」と期待すると、取得後にギャップが生じます。先に職場の支給条件や、取得後に担当する仕事を確認しましょう。
業務管理者の要件は?2つのルートと200戸の基準
業務管理者とは、登録を受けた賃貸住宅管理業者で、管理業務の適正な実施を管理・監督する役割です。管理の仕事に関わる全従業員が賃管士を取らなければならない、という制度ではありません。
200戸は事業者の登録義務、人数は営業所・事務所ごと
自己所有物件の管理を除き、管理戸数が200戸以上の賃貸住宅管理業者には国への登録義務があります。登録を受けた業者は、営業所または事務所ごとに1名以上の業務管理者を配置します。「200戸につき賃管士1人」という人数基準ではありません。
200戸未満でも任意に登録でき、登録した場合は業務管理者の配置を含む義務を負います。また、この制度は住宅の維持保全を受託する事業などが対象で、家賃等の金銭管理だけを行う事業は対象となる賃貸住宅管理業に当たりません。
出典:国土交通省「登録の方法」、「管理業者の業務」、「よくある質問」。
新たに要件を満たす人の基本的な2ルート
ルート A
賃貸不動産経営管理士
- 登録試験である賃管士試験に合格する
- 管理業務の実務経験2年以上、または所定の実務講習修了などの要件を満たす
- 賃管士の資格登録を受ける
ルート B
宅建士+指定講習
- 宅地建物取引士である
- 管理業務の実務経験2年以上、または所定の実務講習修了などの要件を満たす
- 国土交通大臣の指定講習を修了する
出典:賃貸不動産経営管理士協議会「指定講習」。上の図は必要条件を整理したものです。受講・申請の具体的な順序や証明書類は各実施機関の案内で確認してください。
「試験合格」「個人の資格登録」「会社による業務管理者への選任」は、別の段階です。
試験に受かっただけで、すぐに業務管理者になれるわけではありません。賃管士のルートでは、実務経験等の要件を満たしたうえで資格登録が必要です。ここでいう個人の資格登録は、管理戸数200戸の基準で説明した「事業者の登録」とも異なります。
合格実績に期限はありませんが、合格から1年以上経過して登録する場合は「登録講習」も必要です。「あとで登録すれば費用は同じ」とは限らないため、資格を使う時期と合わせて考えましょう。協議会の資格登録要件で確認できます。
登録の手順や管理士証については、賃管士の資格登録・認定証カードの解説にまとめています。資格登録の実務経験として、自分の所有物件の自主管理は認められない点にも注意してください。出典:協議会「登録手続き」。
混同しやすい「4つの講習」の違い
将来性は、現在の制度と分けて考える
業務管理者のあり方は見直しが議論されていますが、国土交通省の2026年2月のとりまとめでは、現在の2ルートを当面維持する方針が示されています。将来の制度変更だけを理由に受験を急ぐより、いま担当したい仕事と取得後の役割に照らして判断しましょう。
出典:国土交通省「賃貸住宅管理業のあり方の検討に係るとりまとめ」(2026年2月、11頁・PDF)。将来の検討方針と、現在適用される資格要件は区別しています。
宅建士との違いと、どちらを先に取るかの決め方
| 比較する点 | 宅地建物取引士 | 賃貸不動産経営管理士 |
|---|---|---|
| 学習・業務の中心 | 不動産の売買・交換、賃貸の代理・媒介などの取引 | 賃貸住宅の管理受託、維持保全、賃貸借・金銭管理など |
| 制度上の特徴 | 取引の重要事項説明など、宅建士が担う業務がある | 資格登録等を通じ、業務管理者の要件を満たすルートとなる |
| 検討するときの視点 | 売買・仲介の担当予定や求人条件を確認 | 管理の担当予定、選任予定、勤務先の資格評価を確認 |
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どちらも未取得なら、希望する仕事と求人条件から決める
売買・賃貸仲介を目指すなら、宅建の学習を優先しやすいでしょう。賃貸管理を主軸にしたい場合は賃管士も候補になりますが、「管理会社を希望するなら必ず賃管士が先」とは決めず、募集条件と担当範囲を確認してください。勤務先の取得支援や受験できる時期も、順番を決める材料です。
宅建取得済みなら、目的を二つに分ける
- 業務管理者になることが主目的:指定講習等のルートを比較する
- 賃貸管理を体系的に学びたい・勤務先が賃管士を評価する:資格取得にかかる時間と費用を比べる
他の資格も候補にある方は、宅建の次に取る資格7選で、希望するキャリアとの相性を確認できます。
転職・資格手当・費用対効果を現実的に考える
資格手当は「金額」より先に支給条件を確認
求人票に「資格保有者歓迎」と書かれていても、資格手当が付くとは限りません。勤務先や応募先には、次の点を確認しましょう。
- 合格だけで対象になるか、資格登録が必要か
- 宅建など他の資格手当と併給できるか
- 支給開始時期、配属や選任による条件はあるか
- 受験料・登録料・講習料の補助があるか
- 業務管理者への選任予定と、任される責任の範囲は何か
転職で比べる場合は、基本給・固定残業代・担当戸数・休日の緊急対応も併せて見ます。求人やキャリアの詳しい比較は、賃管士の年収・求人・資格手当を参考にしてください。
取得費用だけでなく、登録・更新の負担も含める
「いくらかかるか」は、実務経験と登録する時期で変わります。まずは受験時・合格後・資格更新時の費用を分けて確認しましょう。教材や試験対策講座の費用は、次の金額とは別です。
| 項目 | 公表額 | 必要になる場面・内訳 |
|---|---|---|
| 受験手数料 | 12,000円 | 2026年度試験の受験料。公式の試験実施要領 |
| 資格登録料 | 6,600円 | 認定証カード発行手数料4,500円を含む案内額。公式の登録手続き |
| 実務講習 | 20,000円 | 必要な2年以上の管理実務経験に代える場合。公式の実務講習案内 |
| 登録講習 | 12,400円 | 合格から1年以上経過して登録する場合。受講料12,000円+事務手数料400円。資格登録料・カード代は別です。公式の登録講習案内 |
| 更新講習 | 16,500円 | 資格登録の有効期間は5年間。現在の更新案内額にはカード発行手数料4,500円を含みます。公式の更新手続き |
スマホでは表を横に動かして読めます。
2026年10月17日確認。受験料は2026年度の公表額、登録・講習は協議会の現行案内額(税込)です。すべての講習を受ける必要があるわけではありません。登録講習は申込時に資格登録料なども併せて支払うため、登録費用の二重計上に注意してください。将来の受験・更新時は、その時点の案内を確認します。
必要な管理実務経験2年以上がある人が1回で合格し、合格から1年が経過する前に登録する想定なら、受験料とカードを含む登録料の合計は18,600円。実務経験に代わる実務講習も受ける場合は38,600円です。これは上記費用を足した試算で、教材・試験対策講座・任意の5問免除講習・交通費・将来の更新費用は含みません。
費用対効果の計算例
例えば、受験・教材・登録等に合計6万円かかり、月3,000円の資格手当が支給されると仮定します。
60,000円 ÷ 3,000円 = 20か月
これは説明用の仮定で、実際の料金や手当の相場ではありません。税金・更新費用・学習時間は計算に含めず、手当が継続して支給される前提です。
手当がなくても、管理部門への異動準備や担当範囲の拡大に学習を活かせる場合があります。金銭面の回収だけで決めず、学んだ知識を使う予定があるかと併せて考えてください。
取得すると決めたら、学び方を比較
独学・無料動画・通信講座から、仕事と両立できる方法を選びましょう。講座の料金やサポートは比較記事にまとめています。
賃貸不動産経営管理士についてよくある質問
Q.賃管士がないと、賃貸管理の仕事はできませんか?
資格がない人も、賃貸管理のさまざまな実務に携われます。登録を受けた事業者が配置する業務管理者の要件と、各従業員が仕事を担当することは別です。業務管理者の要件を確認してください。
Q.管理受託契約の重要事項説明は、賃管士の独占業務ですか?
いいえ。国土交通省のFAQでは、業務管理者本人による説明は必須とされていません。宅建士が行う不動産取引の重要事項説明とは、制度を分けて理解しましょう。
Q.試験に合格すれば、すぐに業務管理者になれますか?
合格だけでは足りません。賃管士ルートでは、所定の実務経験または実務講習等の条件を満たし、資格登録を受ける必要があります。そのうえで事業者が業務管理者として配置します。
Q.宅建士を持っていれば、賃管士は不要ですか?
目的次第です。業務管理者になることだけが目的なら指定講習等のルートを比較できます。管理知識を広げたい場合や勤務先が賃管士を評価する場合は、別に取得価値を判断してください。
Q.管理戸数200戸未満の会社では役立ちませんか?
管理知識を使う場面はあります。また、200戸未満でも任意登録した事業者には業務管理者の配置義務があります。戸数だけで決めず、登録の有無と担当業務を確認しましょう。
Q.未経験・学生でも、取得する意味はありますか?
管理の仕事に関心があり、学んだ内容を就職先の業務と結び付けて説明できるなら、取得を検討する理由になります。ただし、資格だけで採用が決まるものではありません。学生の取得メリットも参考にしてください。
取得前に、仕事・ルート・勤務先の評価を確認しよう
賃貸不動産経営管理士を取るか迷ったら、まず「賃貸管理を担当する予定があるか」「宅建士の別ルートで目的を満たせるか」「勤務先がどう評価するか」の3点を確認してください。
使い道が見えていれば、学ぶ目的と取得後の行動がつながります。まだ仕事を決めていないなら求人条件を調べ、取得を決めたら勉強法や登録の手順へ進みましょう。
